「ヤドカリだんちの なみでんしゃ」おはなしの背景1
「おおしお」という言葉を知っていますか?「大潮(おおしお)」とは、海の干潮と満潮の差が、もっとも大きくなることで、逆を「小潮(こしお)」と、よぶそうです。海の干潮と満潮は、一日に2回、繰り返され、それは月の引力の影響によって、起こるそうです。
それにしても、大潮の日が、決まって満月か新月の日にやってくるというのは不思議です!新潟の海に育った私は、鎌倉の海沿いに引っ越して来て、はじめて、このことを知りました。
きっかけは、娘の通う幼稚園でした。「おおしお遠足」という行事があったのです。初夏の大潮になると、沖まで歩いて行けそうなくらい海の水が引くのです。当日、幼稚園から歩いて5分の海へ、お弁当とバケツを持って、「いざ、磯遊び!」です。海へ着くと、そこは、普段の海ではありません。水の底にかくれていた岩場が出現し、残された潮だまりでは、小魚やウニ、ヤドカリ、カニなど、色々な海のいきものと接することが出来ます。地元の人は潮見表というこよみを見て、この日と時間を事前に知るのです。「絵本のたのしみ 」より
「おおしお」の波エネルギーによって走るでんしゃ、「なみでんしゃ」に乗って、浅瀬に住むいきものたちが、出かけて行きます。めざすは、深い海にある「かいていランド」です。
ヤドカリだんちに住む、ウニのツックンとツンコちゃんの部屋には、海のいきものたちが使っている月のカレンダーがあります。みんなで、なみでんしゃのやってくる、満月の日を待ちます。
「ヤドカリだんちの なみでんしゃ」は、「おおしお」という自然の現象がおはなしの背景にあります。知らない事を知るという、学習要素が少し含まれたお話と言ってもよいと思います。「身のまわりには、実際にこんな事があるんだよ。」と、前知識を与えて読み聞かせしていただくと、子供たちの反応は、格段に違うそうです。幼稚園の先生から伺ったお話です。
次回は、なみおじさんや、海のなかまたちについて、お話します。倉部